俺の爺さんが幼い頃、田舎の村では土葬された死体が墓から這い出し、夜の山道を歩くことがあったという。村人たちはそれを「歩き土」と呼び、決して関わってはならないと戒めていた。夏祭りの夜、提灯の明かりの向こうで「帰る…」と呟きながら歩くその姿を、爺さんは見てしまう。
夏の夜、沖の堤防へイカ釣りに出かけた俺と先輩。貸し切りのはずの堤防に、裸足の足音がヒタヒタと近づいてくる。先輩は「灯りを消せ!アイツらは光に寄ってくる!」と叫び、月明かりだけの闇の中、海面から這い上がったかのような濡れた人影が、無数にこちらを伺っていた…。
夜間のごみ収集作業中、俺は路地に立つ不気味な影を目にする。それは異様に背が高く、顔は青白い、人間ではない「何か」だった。その日以来、回収現場でたびたび遭遇するその影は、俺の作業中の習慣にまで影響を及ぼし、俺は夜の街の影に怯えながら過ごすことになる。
小学生のころ、友人が手に入れたファミコンソフトは、当時の性能をはるかに超える驚異的なゲームだった。だが、友人は突然死してしまう。後日、形見としてそのソフトを受け取った俺は、ゲーム内に閉じ込められた友人の言葉を目にする。そして、ソフトを預けた店も、跡形もなく消えてしまい…。
私は大学で、ちょっとしたインフルエンサーとして活動していた。そんな私を慕ってくれる後輩は、いつも笑顔で可愛らしい女の子。だが、ある日彼女は「先輩の悪口を言ってる人がいますよ」と告げると、真顔で「始末しておきます」と呟いた。その数日後、その人は本当に大学に来なくなった。彼女の笑顔の裏に潜む、恐ろしい「呪術」の正体とは…。
俺が幼い頃、毎晩のように見た悪夢。内容は毎回違うのに、必ず最後は「脇腹を刺される」という結末を迎える。夢とは思えないほどのリアルな痛みに、俺は目を覚ますたびうずくまって震えていた。大人になった今でも鮮明に覚えているその痛みは、本当に夢だったのだろうか。
パチンコ屋で大勝ちし、気分良くトイレに入った俺は、個室にいる「異様に背の高い男」に遭遇する。不気味な声に怯えて店を後にするが、後日、常連のオバサンから聞いた話は、さらに俺を恐怖の底に突き落とす。そして大負けした日、再び現れた男が発した言葉は…。
30年前に廃校となった小学校で、同窓会を開いた俺たち。木造の校舎で旧交を温める中、同級生の一人が「上半身だけの子供を見た」と言い出す。その直後、電気が消え、悲鳴が響き渡る。気づくと、そこにいるのは俺一人。そして、窓ガラスに映る「同級生たち」の姿を見て、俺は絶叫するが…。
会社の健康診断で訪れた医院は、今年は様子がおかしかった。薄暗い待合室、不気味に笑う受付、怪我だらけの患者たち。診察室に通された俺は「すぐ手術」と告げられ、意識を失う。次に目覚めた時、そこはいつもの医院だったが…。それ以来、俺だけが街中に紛れる「人間じゃないもの」が見えるようになってしまう。
深夜の終電間際、いつもの地下鉄の駅で開いていた職員用の鉄扉。興味本位で足を踏み入れた先は、どこまでも続く薄暗い通路だった。奥の空間で、私が見たのは、無表情で立ち尽くす無数の人影。声を揃えて発された言葉に、
一人暮らしの大学生の俺は、ある日から存在しない“彼女”にまつわる奇妙な出来事に遭遇する。俺しか知らないはずのエピソードを語る彼女の声。その正体は、目が吊り上がり、青白い肌の不気味な女だった。恐怖から引っ越した俺は、その後失踪し遺体となって発見される。そして、残されたスマホには…。
深夜、終電間際の駅。疲れて駅に向かう俺の前に、見慣れない階段が現れた。何気なく降りた先は、見慣れた駅に「似た」異空間。不気味な乗客が乗る電車に乗り込もうとした時、謎の男に助けられるが…。