深夜、残業中のオフィスに鳴り響く社用電話。「今から伺います」という取引先からの電話を切ったMさんを待っていたのは、エレベーターから現れた「壊れたようなスーツの男」だった。
夏の小旅行で訪れた集落の森に潜む、「眼をつけたら最後」という“神様”。姿を見られた者は一人、また一人と消え、やがて主人公の記憶と日常を侵食する。怪談クラブが語る、現代に甦る古き神の、執拗なる追跡と捕食の物語。
地図にも小さくしか載らない山間の村。そこには「夜、外を歩くときは鈴をつけろ」という奇妙な風習があった。好奇心から裏山に入り、空き家で見つけた掛け軸に描かれた異形。それが、村に隠された“神”の正体、そして鈴の音を嫌うその「神」との、命がけの一夜を呼び覚ます。
コンビニの帰り道、見知らぬ女に傘を貸した同僚のN。女はNの個人情報を知り、執拗に「傘を返しにきた」と現れる。やがてNは姿を消し、私のもとには、骨組みが人の指のような傘が届く。
宅配ボックスのないマンションに現れた、制服も荷物もない「宅配」の女。監視カメラにも映らず、誰の記憶にも残らないその存在は、やがて主人公の部屋の前に現れ、恐怖の真実を告げる。
彼氏と別れた夜、一人で車を走らせた私を待っていたのは、闇夜に繰り返し現れる「赤いワンピースの女」だった。バックミラー、そして窓――視界の隅に映り込むその顔が、じわりと迫り、私を恐怖の淵へ突き落とす。夜のドライブが、二度とできない悪夢へと変わる…。怪談クラブがお届けする、夜道に潜む恐怖。