俺が幼い頃、毎晩のように見た悪夢。内容は毎回違うのに、必ず最後は「脇腹を刺される」という結末を迎える。夢とは思えないほどのリアルな痛みに、俺は目を覚ますたびうずくまって震えていた。大人になった今でも鮮明に覚えているその痛みは、本当に夢だったのだろうか。
仕事帰り、誰もいない商店街で鳴り響く公衆電話。電話の向こうから聞こえてきたのは、亡くなった祖母の声だった。懐かしさに誘われ、近況を話す私。しかし、祖母の声は次第に不気味な音に変わり…。
病院に勤める私。亡くなったはずの患者が、数年おきに「変わらぬ年齢のまま」再入院してくる。彼は同じ話を繰り返し、やがてその不気味な存在は、私にだけ認識されるようになる。
数年前、海鮮が絶品でオーナー夫婦も温かい民宿を再訪した私。だが、そこにいたのは、別人の夫婦と濁った海。そして、夜には手足が伸びきり、バッタのように奇妙な動きをする宿泊客たちが現れる。
夏の旅行で泊まった廃墟のようなペンション。開いたままの部屋には、真新しい布団と、中に眠る「誰か」。翌朝、その部屋は消え、ペンション自体も荒廃した廃墟に。怪談クラブが紐解く、泊まった者を二度と帰さない、時間の歪んだペンションの謎。
「本当に出る」と噂の、古びた遊園地のお化け屋敷。壁からぬるりと現れた、足のつかない黒いローブの幽霊。再入場しても何も起こらず、係員は「雨の夜だけ演出が変わる」と告げる。
夜勤のナースステーションに、空室であるはずの303号室から電話がかかってくる。電話口の声は、息子が息をしていないと告げる女性の声。やがて、その部屋にまつわる悲しい過去が明らかになり、怪異は「助けを求める音」となって夜の病棟を彷徨う。
カルトサークルで始めた禁忌の儀式「百物語」。百話の怪談を語り終えた時、そこには消えた蝋燭と、真の恐怖が待っていた。怪談クラブが紐解く、怪談が怪異を呼ぶ、終わりのない物語。
豪雨の夜、避難所で臨時スタッフをしていた私。入口のガラス扉の前に、びしょ濡れの女が立っていた。彼女は水に溶けるように消え去ったが、その正体は水害で亡くなった母親の霊だという。
都内での生活に疲れ、郊外の古民家へ引っ越した私。静かな生活のはずが、毎晩聞こえる足音と、畳に残された白い足跡に悩まされる。怪談クラブがお届けする、時を超えて住人に語りかける、古民家に潜む恐怖。
古い日本家屋の中で“選択”を迫るという、都市伝説の女「夢子」。夢の中で彼女の質問に答えるうち、その姿は徐々に歪み、恐ろしい本性を現す。怪談クラブが語る、間違えれば二度と帰れない、夢の迷宮の恐怖。
夏休み、一人で風景写真を撮るため山奥の森へ入ったミオ。古びた鳥居を見つけシャッターを切った瞬間から、道はねじれ、同じ場所をループし始める。そして、自分そっくりの木彫りの像と、木の上から覗く顔だけの異形。