まだガラケーが主流だった頃。俺はネットで「奇妙な生物」を飼育する日記を見つけた。声真似をし、目が数を増していくその生き物。ある日、サイトは更新を停止する。数年後、社会人になった俺の前に、あのサイトの生き物らしき異形が現れた。そして、俺自身の声で名前を呼ばれ…。
海水浴中、溺れている美女を助けたA。彼女は「水底から手を伸ばす」という怪談の通りだったが、その正体は、数日前に行方不明になっていた中年男性の幽霊だった。怪談クラブが紐解く、海に潜む、姿なき者の悲哀と恐怖。
地方の小さなライブハウスには、「グニャ子」という異様な動きをする幽霊が客席に現れるという噂があった。それは演奏者の目にだけ見え、あり得ない角度で身体をくねらせながら、ステージに近づいてくる。
人里離れた沢で渓流釣りをしていたKは、無音の空間で異様に巨大な怪鳥を目撃する。一度は逃げ帰るも、忘れ物を取りに戻った彼はそのまま姿を消した。怪談クラブが暴く、人を喰らう、山奥に潜む「怪鳥」の正体。
水音がしない不気味な川で、すすり泣く「何か」と遭遇したTくん。その異形は、背中にもう一つの歪んだ顔を持ち、やがて彼の生活を侵食していく。怪談クラブが暴く、悲しみを拾い集め、笑顔に「変える」川の怪異。
幼い頃、祖父から聞かされた山の禁忌。「知る者の顔を纏い、声を真似る“向こうのケモノ”に、決して振り向くな」。時を経て、疲労困憊の主人公が足を踏み入れたその山で、ついに耳にする懐かしい声。怪談クラブがお届けする、山にまつわる恐怖。