部活に向かうため階段を上るたび、3階と4階の間に座る、古びた学ランの生徒。声をかけても返事はなく、彼の顔は白く濁った目で笑っている。
1997年、女子高生が立て続けに7人命を落とした。彼女たちは、妊娠の末に中絶した怨念から「七人ミサキ」となり、一人成仏するごとに新しい一人を引き込んで、その連鎖は終わらない。
深夜の港で、作業服や水着などバラバラな服装の六人の人影を目撃した私。「七人ミサキ」の伝説を知った私が、その怪異のターゲットになった時、難を逃れる方法を探す。怪談クラブが暴く、海辺の街に潜む、悲劇の連鎖と身代わりの恐怖。
母の入院中、久しぶりに実家に戻った私。そこにかかってきたのは、懐かしいはずの、だが今は亡き姉の友達からの電話だった。その声は「今から家に行っていい?」と告げ、やがて異形の姿となって玄関に現れる。
電車の窓から見える古びた一軒家。それは、子供の頃の夢で何度も見た家だった。懐かしさに誘われ、その家を訪れた私を待っていたのは、幻覚のような母親の存在と、衝撃的な現実だった。
一人暮らしのSは、非通知の不気味な電話に悩まされる。電話口の女は「いない」と囁くが、ある日「いた」と告げ、Sの生活圏にまで迫ってくる。怪談クラブが紐解く、電話番号を辿り、少しずつ距離を縮めてくるストーカーのような怪異。
築40年の雑居ビルに、図面にはない「存在しない階段」の噂が。会議の準備で階段を使った女性が、その階段が地下へ続いているのを目撃する。怪談クラブが紐解く、古びたビルに潜む、永遠に続く階段の謎。
中学校の旧校舎に伝わる、七限目にだけ開く「消える階段」の噂。好奇心から足を踏み入れた私は、階段の降りているつもりが登っている感覚に。そして出口がわからなくなる。
古い日本家屋の中で“選択”を迫るという、都市伝説の女「夢子」。夢の中で彼女の質問に答えるうち、その姿は徐々に歪み、恐ろしい本性を現す。怪談クラブが語る、間違えれば二度と帰れない、夢の迷宮の恐怖。
夏休み、旅行先の海沿いで「沈んだ鳥居」の存在を知る。潮が引いた時だけ姿を現すその鳥居は、無数のお札と赤い手形が不気味さを増し、足元を引っ張る何かの気配がする。それは、訪れた者を二度と帰さない、海辺に封じられた場所だった。
小学生の頃、家族のお気に入りだった海水浴場。ある夏、父不在の浜辺で、私たちはひときわ大きな「潮だまり」を見つける。そこには無数の魚が泳いでいたが、妹が手を伸ばした瞬間、水面に人の顔が浮かび上がる。
卒業制作で球体関節人形を制作する美大生・由佳。インスピレーションを求めて見つけた古いアルバムには、見知らぬ少女が写り込んでいた。その少女をモデルに人形を完成させた時から、怪異は始まり、やがて由佳自身もその人形に存在を乗っ取られていく。