夏の終わりの墓地で出会った、墓石に名前を刻む奇妙な少年。「今日は、だれがくるか しらべてるの」。彼の言葉と老婆の語る戦没者の霊。そして、帰宅後に起こった位牌の異変。疑心暗鬼を産む一話。
小6の夏休み、廃校の女子トイレで肝試し。花子さんは「呼び出す」のではなく「呼ばれる」と噂される中、友人がその声に誘われる。やがて彼は奇行を繰り返し、遠い街へ。怪談クラブが暴く、廃校に潜む、遊びに誘い込む怪異の正体。
小学五年の遠足で、バスの点呼時に人数が一人多いという奇妙な現象が起こる。帰りのバスでは、窓に映る不気味な子供の姿と目が合い、その存在は日常にまで迫る。
深夜、残業中のオフィスに鳴り響く社用電話。「今から伺います」という取引先からの電話を切ったMさんを待っていたのは、エレベーターから現れた「壊れたようなスーツの男」だった。
中学生の不良Yがバイク事故で心肺停止、そして奇跡的に蘇生。彼が語ったのは、赤黒い霧と無数の悲鳴に満ちた「地獄」の光景だった。怪談クラブが暴く、死の淵で見た地獄と、仲間たちを巻き込む不可解な「順番」の恐怖。
公園の隅に突如現れた、壁のない白いドア。開くとそこには、顔が崩れた家族が住む家が広がっていた。食事を勧められる中、友人の叫びで露わになる怪異の真実。遊びに誘い込む日常の隣に潜む、異界への扉の恐怖。
水音がしない不気味な川で、すすり泣く「何か」と遭遇したTくん。その異形は、背中にもう一つの歪んだ顔を持ち、やがて彼の生活を侵食していく。怪談クラブが暴く、悲しみを拾い集め、笑顔に「変える」川の怪異。
大学の卒業旅行で訪れた秋の海辺。泊まった民宿の女将は、夜の海を執拗に勧めた。そこに現れた白いワンピースの女は、手招きで友人を海へと誘い込む。怪談クラブが綴る、秋の海に潜む、永遠の家族を探す招待状。
ある日突然、最寄り駅近くに現れた見知らぬアーケード「ちのはな商店街」。吸い寄せられるように足を踏み入れた先は、どこまでも続く迷宮と化した異界。そこは巨大な頭部を持つ不気味なマスコットのような「住人」たちが、訪れた者を二度と帰さない場所だった。
コンビニの帰り道、見知らぬ女に傘を貸した同僚のN。女はNの個人情報を知り、執拗に「傘を返しにきた」と現れる。やがてNは姿を消し、私のもとには、骨組みが人の指のような傘が届く。
祖母の空き家で一人過ごす夜、廊下から聞こえるのは、引き伸ばされたような“母の声”。それは襖の向こうで揺れる異形の影となり、やがて私の隣に立つ。怪談クラブが紐解く、親しい声に化けて忍び寄る、身近な者の姿を歪める恐怖。
高校の美術室に置かれた、笑っているように見える石膏像「マチコの生首」。その顔は日ごとに変化し、写真に収めると異形の姿を現す。やがて、その像は誰もいない部室から笑い声を響かせ始める。