深夜、高速道路の長いトンネルの手前で、ぼんやりと白い親子の影を目撃した私。その場所には、かつて事故で亡くなった家族の言い伝えが残されていた。やがて、その家族は私に迫り、目を合わせた恐怖の夜が始まる。
夏の旅行で泊まった廃墟のようなペンション。開いたままの部屋には、真新しい布団と、中に眠る「誰か」。翌朝、その部屋は消え、ペンション自体も荒廃した廃墟に。怪談クラブが紐解く、泊まった者を二度と帰さない、時間の歪んだペンションの謎。
幼い頃、半年だけ住んでいた古い家。雨の日だけ、押し入れの奥から出てくる「友達」と遊んでいた。その子の正体は、親の言葉で明らかになる。怪談クラブが語る、無邪気な子供の遊びに潜む、家に隠された恐怖。
「本当に出る」と噂の、古びた遊園地のお化け屋敷。壁からぬるりと現れた、足のつかない黒いローブの幽霊。再入場しても何も起こらず、係員は「雨の夜だけ演出が変わる」と告げる。
夜間外来の受付に現れた、付き添いの女性。彼女がトイレへ向かったきり戻ってこないことを不審に思った私は、その廊下が工事で閉鎖されていることを知る。やがて、その廊下の奥に立つ女性の姿が鏡に映り込み始める。
外の河原でバーベキューをしていた仲間たち。そこに現れた三人組の男たちは、肉も酒も口にせず、やがて川に入り、冗談めかして“溺れるふり”を始める。それは、過去の事故を繰り返す、川に潜む者たちの誘いだった。
新聞配達のアルバイトをしていた大学生が、ある日突然増えた配達先に不審な点を見つける。ポストに新聞が溜まり、窓からは白い顔が覗く。しかし、配達リストにその家は存在せず、やがてその家自体が消えてしまう。
夏休みの肝試しで訪れた廃宗教施設。そこで出会った男女4人組に誘われ、一行は禁断の地下室へ。彼らは服が裏返しで、異様な気配を纏い、やがて全員を闇へと誘う。
同僚の三浦が転勤先で引っ越した家は、前住人が逃げ出した「空き家」だった。入居直後から異様な気配と夜中に廊下を這う音に苛まれる。誰もいないはずの家から感じられる不気味な視線とは。
大学の友人たちと行った廃病院での肝試し。手探りの暗闇で、恐怖から手をつないだ相手は、冷たく骨ばった、人間ではない「何か」だった。怪談クラブが暴く、遊びに潜む、姿なき存在との不気味な接触。
深夜、肝試しで訪れた廃校の放送室。マイクのスイッチを入れると、無人のスピーカーから「今うしろ」という返事が。笑い声が繰り返される中、出口の扉に映る誰かの顔。怪談クラブが暴く、廃校に潜む、遊び半分で挑んだ者に降りかかる恐怖。
朝早い特急列車の最後尾に乗った主人公。隣に座った不気味な女の言葉と、窓の外に並走する“もう一つの車両”の存在に気づく。そこには口の裂けた自分そっくりの人間たちが映っており、列車は異界への入り口となる。