友人と温泉旅行に行った俺は、窓から鬱蒼とした森しか見えない山側の部屋に宿泊する。夜、温泉に向かうと、浴場には清掃員らしき人影が。だが、「はーい」と返事をしたのは、人間ではない異形だった。慌てて部屋に戻った俺は、窓とドアにお札を貼られ、「朝まで絶対に出るな」と告げられる。
林業を営む俺が、山奥で出会った二人の女性。彼女たちは街の格好で、泥一つ付いていない。不自然な笑い方、そして宙に浮くような足元。その異様な存在の正体は、山に潜む神だったのか…。
夏休み、山を越えた先に見つけたのは、懐かしくもどこか古風な村だった。親切な村人たちに招かれ、食事を勧められるが、とっさに断って帰宅。しかし祖父の口から、その村の恐ろしい正体が語られる…。
夏休み、早朝の森へ虫取りに出かけた親子。楽しんでいたはずの時間が一変する。木陰に立つ不気味な女の視線。振り向くたびに縮まる距離、そして向けられた指先は、なぜか幼い息子を指し示していた…。
夏のキャンプ場に、食料を求める女性グループがやってきた。彼女たちは、糸で操られた人形のようにぎこちなく、やがて友人の一人を誘い出す。怪談クラブが語る、深夜のキャンプ場に潜む、人ならざる者たちの恐怖。
夜景スポットの展望台。森の奥から、垂直に飛び跳ねる不気味な女の影が現れる。それは「ぴょんぴょん女」と呼ばれる都市伝説の存在だった。数年後、昼間に再訪した私は、その異形の正体が、失踪した友人に似ている。
深夜、ドライブで迷い込んだ山道。窓の外には、四つん這いで車と並走する「口の裂けた女」が。友人の悲鳴と、アスファルトに残された手形。怪談クラブが紐解く、走る車を狙い、幻覚を見せる怪異の恐怖。
林間学校の夜、友人の声に呼ばれて森に入った私。しかし、そこにいたのは友人の姿を借りた、口が裂けた木の顔だった。
深夜、高速道路の長いトンネルの手前で、ぼんやりと白い親子の影を目撃した私。その場所には、かつて事故で亡くなった家族の言い伝えが残されていた。やがて、その家族は私に迫り、目を合わせた恐怖の夜が始まる。
夏の旅行で泊まった廃墟のようなペンション。開いたままの部屋には、真新しい布団と、中に眠る「誰か」。翌朝、その部屋は消え、ペンション自体も荒廃した廃墟に。怪談クラブが紐解く、泊まった者を二度と帰さない、時間の歪んだペンションの謎。
張帰り、深夜の山道で廃線となったはずの踏切が鳴り響く。霧の中から現れたのは、音もなく浮遊する古い列車。それは、かつて事故で行方不明になった終電の幽霊だった。
地元の山に山菜採りに出かけたSさん。道に迷うが、そこに現れたのは、親切に道案内をしてくれるはずの、紫色のカーディガンを着た奇妙なおばさんだった。