深夜、男女4人で立ち寄った公衆トイレ。使用中の個室から覗く不気味な女の顔を、鏡越しに見てしまった。やがて、個室にチェックしようとする友人のC。怪談クラブが紐解く、鏡の中にだけ真実を映し出す、トイレに潜む怪異の恐怖。
豪雨の夜、避難所で臨時スタッフをしていた私。入口のガラス扉の前に、びしょ濡れの女が立っていた。彼女は水に溶けるように消え去ったが、その正体は水害で亡くなった母親の霊だという。
訳あり空き家のリフォームを請け負った中野。家の中から聞こえる「ぽちゃん、ぽちゃん」という不気味な水音は、押入れの奥に隠された空間から響いていた。その奥の井戸に潜む女の影と、次第に明かされる失踪の恐怖。
夜の公園に現れる、首が360度回る女「メリーゴーランドさん」。彼女の問いに答えを間違えると、首を“こっち側”にされてしまうという。怪談クラブが語る、都市に潜む異形の恐怖と、その終わらない問いかけ。
深夜の地下鉄で、異様な女の乗客と遭遇した私。顔をうつむかせ、口をパクパクと動かす女。やがて、その異形の顔が明らかになり、隣の乗客は彼女の恐るべき目的を告げる。それは、死ぬ人を「探す」行為だった。
キャンプで夜中にテントを叩く「誰か」。寒さを訴え、女子メンバーに似た声で「開けて」と懇願するその声に違和感を覚える。そして「ミユ」という知らない名前。朝になり、管理人の話で、そこは昔、行方不明者が出た山だと知る。
平成初期、小学生たちが肝試しで訪れた村外れの神社。柏手の音に誘われた先に現れた異形の女。女から逃げ込んだ家で、壮絶な夜が始まる。、現代に語り継がれる異形の姿とは。
人暮らしの大学生が実家から戻った夜、冷蔵庫の中に、昭和デザインの古い缶ジュースと、ニヤニヤ笑う女の生首を見つける。それは、見知らぬ者が家に侵入した証。怪談クラブが語る、最も安全なはずの自宅を侵食する恐怖。
大学の卒業旅行で訪れた秋の海辺。泊まった民宿の女将は、夜の海を執拗に勧めた。そこに現れた白いワンピースの女は、手招きで友人を海へと誘い込む。怪談クラブが綴る、秋の海に潜む、永遠の家族を探す招待状。
コンビニの帰り道、見知らぬ女に傘を貸した同僚のN。女はNの個人情報を知り、執拗に「傘を返しにきた」と現れる。やがてNは姿を消し、私のもとには、骨組みが人の指のような傘が届く。
祖母の空き家で一人過ごす夜、廊下から聞こえるのは、引き伸ばされたような“母の声”。それは襖の向こうで揺れる異形の影となり、やがて私の隣に立つ。怪談クラブが紐解く、親しい声に化けて忍び寄る、身近な者の姿を歪める恐怖。
朝早い特急列車の最後尾に乗った主人公。隣に座った不気味な女の言葉と、窓の外に並走する“もう一つの車両”の存在に気づく。そこには口の裂けた自分そっくりの人間たちが映っており、列車は異界への入り口となる。